ケータイ恋愛小説家
「じゃ。そゆことで!」


助かったー!

あたしはホッと胸をなでおろして、去っていく大輔君の背中を見送った。


大輔君はやっぱりあたしの王子様だよー!

ううん、違う。

困った時に助けてくれるスーパーマンだ。


も、胸……キューンだよ。

キューン。


―――パコンッ


大輔君に見とれてぼんやりしているあたしの頭を蓮君が小突いた。


「痛ぁ……」


「オレもう行くから」


「あ、うん。今日はありがと。バイト頑張って!」


蓮君は口元を緩ませてほんの少し微笑むと、時間があまりないのか、そのままあたしに背を向けて走り出した。


だけど、数メートル進んだところで振り返る。


こちらを見ながら口をパクパクさせる。



くすっ

心配性なとこも、昔と全然変ってないや。



声は聞こえなかったけど、何を言いたかったか、あたしにはちゃんとわかったんだ。






―――“気をつけて帰れよ”
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