ケータイ恋愛小説家
あたしは興味津々な目でそんな突拍子もない質問を大輔君に投げかけた。

一方彼は一瞬キョトンとして、それからプッと吹き出した。


「何、よからぬ妄想してんの?」


「え? 妄想? べべべべべべつにそんなわけじゃ……」


あたしは心を見透かされ、さらに真っ赤になる。


「ご期待に添えなくて申し訳ないけど。生徒は男だよ。しかも中坊」


「なぁーんだー」


「ほんと、ヒナちゃんは可愛いな」


大輔君は肩を震わせて笑いながら荷物をまとめる。


「んじゃ。オレはそろそろ……。今からホントの“先生”だから」


「あ! ありがとうございました」


あたしも慌てて立ち上がり挨拶する。


「ん。じゃな」


大輔君はそう言って、指をヒラヒラさせて出て行った。


『いってらっしゃい。アナタ♪』


なんて、大輔君の背中に心の中でつぶやくあたし。


でへへへへ。


パコンッ!


「お前、さっきからキモいよ……顔が」


背後から突然頭を小突かれた上、そんなことを言われたあたしは頭を押さえながらムッとして振り返る。

そこには、目を細めていかにもバカにしたような表情であたしを見下ろす蓮君がいた。

あはは……いたのか。

すっかり忘れてた。



「お前あいつのこと好きなの?」
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