『叶えたいこと』

思い出す笑顔。

 
 「あら、学校で何かいいことあったの?」
 「え?別に特には…」

 学校から帰ったあたしを見て、母がそんなことを言った。
 そういえば、母には学校のことを言っていない。
 わざわざ学校のことを話す必要もないと思ってるから。だけど母はよく、学校のことを聞いてくる。
 あたしが悲しそうな顔をしているらしいのだ。
 自分自身が気がつかないことも、母には解ってしまうのかも知れない。

 「そういえば、名前も聞かなかったな」

 ベットに寝そべり屋上のことを思い出す。あたしもよく屋上へ行く方だけど、彼に会ったのは初めてだ。
 けっこう綺麗な顔立ち、だけどなんだかどこか悲しそうな顔をした人だった。
 
 明日も、いるのかな。
 あたしの名前、「友子」は友達がたくさん出来るようにって付けたってお母さんは言ってた。
 …今は、名前負けしちゃってるな。
 あの男の子とは、なんだか素直に話せた。
 また、明日も話せるといいな。
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