『叶えたいこと』

夢ってやつは

 あたしは今までの事をかいつまんで話した。
 そしたら何故か、意外なくらい素直に気持ちを話すことが出来た。自分自身、自分の気持ちに色々気がついたような気さえするほどに。

 「あたし、別に誰かをばかにするつもりも、勉強が出来るって自慢した覚えもないのに。ほんとは、ただ…」
 「ただ?」
 「ただ…友達が欲しかった。本当は、話しかけたかったのに、勇気が出なかった」
 「友達、か」
 「でももういいのよ。夢とか希望ってなかなか叶えられるもんじゃないのよ、どうせ」
 「僕は夢、あるよ」
 「え?」
 「そう、夢。今もちゃんとある。ずっと願ってる夢が」
 「そっか、夢、あるんだ」
 「僕は叶うって、信じてるんだ」
 「…信じてる、か」
 「そ、よく言わない?信じるものは救われるって」
 「あたしにはよくわからない。信じた分だけだめだった時辛いじゃない」
 「一回だめでも、それでもずっとずっと信じてたらきっと叶うんだよ」
 「そういうもん、かなぁ」
 「そういうもん!」

 彼は自信たっぷりに笑う。
 彼が言うことなら、なんとなく信じてもいいかなって思える、そんな笑顔だった。
 
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