上手なフラれ方
愛する人
校門へ向かう坂道を下っていた。

高校時代、毎日通った道だった。

北村麗華にフラれた後、僕の足は自然とこの場所に向かっていた。

なぜこの場所を訪れたのか、自分自身、よくわかっていなかった。

自然と、体が動いたのだ。


校門の前に立ち、横開きの門を試しに動かしてみる。

開かない。

当然のように鍵が閉まっていた。

少し迷ったが、思い切って門を飛び越えてみる。

もう少しのところで足が引っ掛かり、派手に転んだ。

学校の敷地内に顔面から飛び込む形になった。

顔を激しく地面に打ち付ける。

顔中を擦りむいたが、痛みには慣れていた。

よろめきながら、立ち上がる。


道は二手に別れていた。

右手に進むとグラウンドがあり、左手に進むと校舎と、空手場がある。

僕は迷わず、左の道を選んだ。

月明かりに照らされた道を歩くとすぐに空手場が見えた。

真っすぐ向かい、その扉の前に立つ。

扉には4桁の数字を入力して開ける鍵が取り付けられていたが、すでに鍵は開いていた。

部員が閉め忘れたのだろうか、と考えながら静かに扉を開けた。
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