秘密の片思い
スーパーの袋2つを両手にぶら下げながらマンションへ戻った。


(飲み物ばかりで重くなっちゃった)


腕が重さにたえられなくなった時、玄関の前に立っている郁斗を目にした。


足音で郁斗が振り向いて近づいてきた。


顔は無表情のまま。



「帰って!」


愛は勇気をふり絞って言った。


「いったいどうしたんだよ?」


郁斗がぶっきらぼうに聞く。


「電話で言ったでしょう?もう郁斗とは終わったの 帰って」


愛は郁斗を押しのけて玄関の前へ行く。


ポケットから鍵を出し、震える手が郁斗から見えないようにして開けた。



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