秘密の片思い
「エレナをホテルに送ってから練習に行って来るよ 今日は遅くなるからゆっくりしていて」


玄関で郁斗はそう言って愛車のキーを片手にエレナと行ってしまった。






「ゆっくりしていろって言われても・・・買い物に行こうかな」


そう思った時、日菜からメールが来た。


ちょうど暇だったら会おうというメールだった。


* * * * *


「で、エレナと郁斗は行ってしまったから、さっきから宇佐晴らししているんだね?」


日菜がバナナジュースを一口飲むと言った。


「宇佐晴らしじゃないって」


愛は溜息を吐く。


「だってすごい買い物の量だよ?」


気に入ったベビー服を片っ端から買い求めたのだ。


「宇佐晴らしじゃなくて本当に赤ちゃんに似合うと思って買ったの 全部可愛いし」


愛がいくら言い繕っても親友の日菜にはお見通しだ。


「愛ちゃん、ストレスはおなかの赤ちゃんにも悪いからこれでいいんだよ」


日菜は屈託ない表情で愛に微笑んだ。



< 388 / 646 >

この作品をシェア

pagetop