秘密の片思い
エレナとキスは断じてしていない。


だが愛はそれを信じてしまった。


郁斗はハッと我に返り、週刊誌から顔を上げてベッドルームを出る。


「愛?」


名前を呼んでも返事はない。


「愛?説明したいんだ」


そう言っても部屋の中は静まり返っていた。


「!?」


郁斗は玄関に行き愛の靴を確かめた。


愛が好んで履くスニーカーが無かった。


「愛!?」


スニーカーはしまっているいるだけで、出て行かずに部屋にいるのかも・・・と部屋のドアを次から次へと開けていく。


どこを探しても愛はいなかった。


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