秘密の片思い
「愛?」


意地悪って・・・愛の気持ちを考えて言ったことなのにな。


名前を呼んでも顔を見せない。


郁斗は愛に聞こえないように深い溜息を吐いた。


子供っぽい愛が可愛い。


とりあえずほっとくか・・・。


「愛、待ってるからな?」



* * * * * *



「郁斗・・・サッカーの練習に行かなくて良いの?」


翌日、昨日あんな形で寝てしまった愛はぎこちなく郁斗に聞いた。


日菜に教えてもらってからずっと気になっていたのだ。


入院中、一度も長時間抜けたことがない。


「愛が退院するまでいいんだ」


「でも・・・全日本の代表選手なんでしょ?こんなにサボっていたら次は選ばれないかも・・・」


「選ばれなかったら次でがんばるからいい」


サッカーも大切だが愛も大切だ。


今は愛を優先したい郁斗だった。



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