秘密の片思い
「これを全部郁斗が・・・?」


「なわけないだろ?こんな料理できないよ」


笑って否定する。


「・・・ありがとう」


愛は郁斗に抱きついた。




* * * * * *



女の子なら誰でも憧れてしまうクリスマス・ディナーの演出に驚くばかりだ。


食事を食べ終わった2人はツリーの側の可愛らしい真っ赤なソファーに座りコーヒーを飲んでいた。


「ありがとう」


少し上気した顔で郁斗を見つめた愛が言う。


「どういたしまして」


郁斗が肩を抱き髪に口付けする。


その仕草に甘くうずくような気持ちが湧きあがってくる。


「今年1年はいろいろあったな・・・・」


ブラジルから帰ってきて愛に再会し、妊娠、結婚、事故。


この1年間にいろいろな事が起こり過ぎた。



愛は黙って郁斗に肩を抱かれていたが立ち上がった。


心の中はいろいろな想いがこみ上げているだろう。



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