雨上がりの月夜に
葉月との楽しい時間を過ごした後、


「今日は誕生日だね。おめでとう。」


「ありがとう。覚えていてくれたんだ。」


「それでね~…。」

私はポケットからコインロッカーのキーを隠す様に取り出した。


「何?何~?見せてよ~。」


私は勿体ぶって渡さず、葉月は私の手の中にあるものを執拗に取ろうとした。


それはまるでオモチャを取り上げた兄から妹が取り返そうとしている場景にも見えた。


それでも二人は笑っていた。


観念した私は

「はい。これ。」


コインロッカーの黄色いキーを渡した。

「何これ?コインロッカーのキー?」
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