ずっと...
言えなかった思い

あたしの手を握りしめる

拓真の大きな手。

拓真の大きな手から

あたしに伝わってきた感情。


ちゃんと伝わった。


あたし、拓真の重荷になっちゃうよね。


せっかく伝えようとした、言葉も伝えられないんだもの。

伝えなくて正解でしょ?


もう、あたしの怪我。

ううん、

病気は、治らない。


...ガン。


自分でも分かってた...。

本当の、拓真と雅哉の喧嘩を止めた理由なんて

『どうせ病気なんだから身を投げ出して、怪我したっていい』っていう


単純な答えだった。


あの時、拓真にエリート高校の話を持ち出した時だって...


『可笑しいかもしれない、でも一度言ってみたかった』だけ。

病気のあたしには、中学卒業の文字しか多分残らないだろう。


高校に行けないまま、このまま病院生活の日々になるのかな。


「悠里...なんで黙ってたんだよ!?」


いつかは拓真に知られちゃう事は覚悟してたけど...。

「拓真に...あたしの事言う必要ないじゃん!!」

あたしの意地っ張り。

本当は甘えたい。

泣きたいくらい苦しい。

今すぐにでも拓真に抱きつきたい。


でも、弱い自分を見せたくないよ...。

拓真にだけは知られたくなかったのに。


「そうかよ...。俺は、お前が好きで
心配で来てんのに、お前のこと知ってちゃ駄目なのかよ。」


さりげなく拓真から出た言葉に、違和感を感じた。

自分から言おうとしていた思いが、

拓真にもあったなんて...。


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