いちえ



「じゃあ、ももは俺に付いて来いよ」


「え?どっか行くの?」


言われた事の意味が分からず、思わず瑠衣斗を見つめる。


付いてく?確かに中は広くて、何がどこにあるかなんてサッパリ分からないけど……。


そんな私の考えを読んだかのように、瑠衣斗が口元を少し上げ、意味深に笑う。



「それは着けば分かる」


「つ、着けば分かる??」



すっごい不安なんだけど…!!



そんな私を余所に、宗太と龍雅が準備万端とばかりに、荷物を手に立ち上がった。


「あ、風呂は廊下の突き当たりまで行けばすぐ分かるから」


「はいよー。んじゃ早速行ってくる」


やけに大人しい龍雅は、見ると顔が強張っていて何だか可愛く思える。


いつもなら、一緒に入ろうとかうるさいだろうし。


実は私よりも怖がりだったりして。


そんな事を思いながらも、何だかよく分からない状況になっている事に思考回路がパンクしてしまいそうだ。


「んだよ、相変わらず怖がりだなあ〜」


「そんな事言わないで!!!!」


端から見れば可笑しなやり取りをする宗太と龍雅は、何の躊躇もなく部屋を出て行ってしまった。


あらら…?ちょっとこれどーゆう状況……??


「うし、行くぞ」


「えっ、は、はい」



先に部屋の出入り口へと向かった瑠衣斗を追うように、慌てて私も後に続いたのだった。
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