いちえ



「――えっ!?つ、付き合わされる…?」


やっとの事で吐き出したセリフも、何だか焦ったまま飛び出してきてしまい、何となく気恥ずかしい。


「おじさんはいつでもデートする気満々だよ」


「えぇっ!?あっ…ありがとうございます。嬉しいです」


2人のペースに付いていけずに、慌てて返事をするもちゃんとした回答になっていない。



「…俺が無理やり付き合わさせてるみてえじゃねえかよ…しかもデートって……何歳だよ」


「こんな可愛い子と一緒なんて、付き合ってもらってるようなものよ〜」


「デートするのに歳なんて関係ない」



相変わらず、フォローする気もサラサラないらしい宗太と龍雅は、楽しそうに笑うだけだ。


瑠衣斗は相変わらずむくれてしまってはいるものの、別に怒っているようではなかった。




「それで?明日はどこか行くの?」


「あぁ…ももの行きたい所」


ようやく会話も軌道修正をし始めたようで、次の話題は明日の私と瑠衣斗の予定に話が変わったようだ。


「でも…この辺何があるかも分からないでしょう?」


そう言いながら、瑠衣斗から私に視線を向けたおばさんは、何だか心配そうな瞳をしている。


そんな私の心に、やっぱり暖かく、切ない何かが疼くようで、私はそれに気付かない振りをして口元を緩めた。


「はい。そうなんですよね……なんで、るぅの育った学校が見てみたいなあと」


私の言葉にゆっくりと分かりやすく反応した瑠衣斗は、驚いたような、言われた言葉が理解できていないような、そんな顔で私に目を向けた。


「――…学校…?」


「そう。学校」


言葉を繰り返した私に対して、瑠衣斗は瞬きをして私を見つめる。


その瞳には、何だか少し戸惑った自分が映り込んでいた。
< 321 / 525 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop