いちえ



宗太は苦笑いしながら、私の持っている荷物を取ると、部屋の角へと運んでくれた。


「それはそうと、明日久々に全員集合な」


「また何かやるの?」



荷物を置いてテーブルに近づきながら言う宗太に向かって、美春が好奇心を丸出しに目をキラキラさせて振り返った。



先にソファーに腰を下ろした私は、そんな様子を見ながら携帯を鞄から取り出した。


時刻は間もなく16時になる頃で、日も長くなった今ではまだ外は明るい。


それでも、さっき見た雨雲がやってきたかのように、どんよりとした雰囲気が外を覆っていた。



「ま、明日のお楽しみな〜♪」


「えぇ〜っ!!なになに!?ももは知ってるの?」



突然声を掛けられて顔を弾き上げると、間近にまで迫ってきていた美春の顔に思わず驚く。


「うっ!?…え、あ…知らない…よ?」


「嘘ぉ〜!!もも困ってるもん!!」



困ってるんじゃなくて…ビックリしてどもっちゃっただけだよ……。



「なによーっ!!教えてくれたっていいじゃ〜ん!!」


「がはは!!だから〜、楽しみは取っておいた方がいいだろ〜?」



龍雅の言葉に反応して、頬を膨らませた美春が恨めしそうに私を見つめる。


「……知らないよ?」



そう応えた私に、もぉ!!と言いながら隣に腰掛けると、龍雅と向き合うようにして座っている宗太に目を向け、次に龍雅に目を向けた。


「みんなイジワル…けちっ」


「俺見て言うなよなぁ〜」
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