君への距離

新たなスタート

「アツシ!!」



「よっしゃ!!」




センターからの返球をうけた翼はアツシめがけて鋭い球を投げる。


サードからタッチアップで走ってきたタクさんとアツシのクロスプレーとなった。





バシッ!!





キャッチャーの後ろで審判をしている光さんがにやりと笑う。



「セーフ♪」



「ええ?」
翼がそりゃないよという顔で光さんを見つめる。



光さん、
「翼チャンにそんな目で見つめられるとおじさん照れちゃうなぁ~!

翼の返球はばっちりアウトなんだけどね…

このバカが!」



光さんはアツシを見る。



アツシ、
「俺ちゃんと捕ってます!」



杏がベンチから大声で叫ぶ。


「アツシ、後ろ!!!」


「え?」


アツシは後ろを振り返る。


ボールが一つ、転がっている。


「うっそ!!」
アツシは驚いてグローブを眺める。



グローブは親指部分のヒモが切れてブランブランになっていた。


「うっわー!!」





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