良と遼〜同じ名前の彼氏〜
二人で迎えた朝
夢を見ていた。


オヤジがお酒に酔って暴れている。


お母さんはヒステリックに叫んでいる。


お兄ちゃんは部屋にこもって制服のフィギュアに話しかけている。


あたしは何だかよくわからない叫び声をあげて、家中のガラスを割っていた。


リビングも、台所も、あたしの部屋も、全部めちゃくちゃにしてやった。


あたしはただ、静かな場所でゆっくり眠りたいだけだったのに。






目を開くと真っ白な天井があった。


そこは暖かくて、温もりを感じて、なんだかすごく気持ちが良かった。


眠いからだをゆっくり動かして、あたしは横を見る。


そこには今まで見たことのない、とても綺麗な寝顔あった。


リョウヘイだ。


口と鼻と眉毛と耳にピアスがついている顔に少年のような寝顔を浮かべて、澄んだ金色の髪の毛は日の光に反射してキラキラ光っている。


あたしは思わずその寝顔に見とれていた。


やがて、ピアスの下の瞼がゆっくりと開く。


深い茶色の瞳があたしをじっと見つめた。


思わず目をそらしたあたしの髪に、リョウヘイが優しく手を通す。


ドキッとした次の瞬間、リョウヘイの太い腕があたしをグッと抱き寄せた。
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表紙・目次

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