良と遼〜同じ名前の彼氏〜
良ちゃんとは、高2のクラス替えで同じクラスになったのが出会いだ。


あたし、「綾瀬奈美」の後ろの席だったのが「鮎川良平」


「鮎川」なんて珍しい名字だからすぐ覚えた。


あたしも良ちゃんも決してクラスで目立つほうではない。


おでんで例えたらこんにゃくとか白滝とか?


要するに地味目な存在。


明るい髪の毛にお化粧して、キラキラのストーンをびっしり貼った、いわゆるデコ電を片手に彼氏やクラブの話をしてるギャルグループでもないし、かといって勉強が特別できるわけでもないから秀才グループにも入らない。



中途半端だから、余計地味。



だけど、夏休みには勇気をだして良ちゃんを花火に誘った。


花火大会が終わった静寂のなかであたしは告白した。


「鮎川君。
あたし…
あたし、鮎川君のことが好きなの。
だから……付き合ってくれないかな……」


沈黙の後、


「あ……ありがとう。
うん、うん、いいよ。
俺たち付き合おうよ。」



という良ちゃんの返事。


それからあたしと良ちゃんは映画行ったり、放課後一緒に帰ったり、ファミレスでご飯食べたり、色々した。


良ちゃんと一緒の時間は特別だった。



良ちゃんが一番好きな人で、良ちゃんが全てだと思っていた。


あの告白があるまでは。
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