良と遼〜同じ名前の彼氏〜
「そうだよ。サトちゃん知ってる?」


「うん、すごく」


それなら先に言ってよ!


あたしが危うくサトちゃんに詰め寄る前に、サトちゃんが口を開いた。


「美弥はさ、アユの元カノなの」


「元カノ?」


「うん。半年位付き合っててたんだけど…でもほら、あんな性格でしょ?
アユが自分以外の女の子と仲良くするのが嫌みたいでさ、私とかユウジ君の彼女がアユと話してるだけで敵意剥き出しって感じでガンとばしてくるの」


あぁ。それとてもわかる気がする。


「私達なんかアユが中学の頃からの付き合いなのにさ、最初は年下だし多めに見てたけど。やっぱりさ、なんか嫌じゃんそうゆうの」


受話器の向こうで、眉間にシワをよせたサトちゃんの顔が想像できるようだった。


「でもアユには超一途でさ、美弥はアユのこと大好きだったからそうゆうのって可愛いじゃん?
アユも最初はそこは多めにみてたみたいだけど…やっぱり自分よがりじゃ上手く行かないよね」


雨の音はいっそう強く、部屋に響いていた。
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