愛されたい でも愛されない
「あ・・・もう八時・・・」

考え事をしていたら、もう学校に行かなきゃならない時間になった。
ボクはランドセルを背負う。

『アンタのランドセルを買うなんて・・・お金の無駄だわ』

「・・・ッ!」

お母さんの言葉を思い出してボクの心はきゅうと唸った。
そして目が熱くなって泣きそうになる。
でもボクは泣かない。
泣いたらお父さんに怒られるから。

「女みたいに泣くんじゃない!」

って言って叩かれるから、僕はなるべく泣かないようにしている。


くつを履いて、玄関を開ける前に言う

「いってきます」

それさえも誰も返してくれない。
聞こえてるけど、聞こえないふりをする。
いつものことだ。
だけど、いつか

「いってらっしゃい!」

って言ってもらいたいから、今日もボクは
「いってきます」を言うんだ。
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