空色パステル



「美緩……相談乗るから、話して?」


そう言ったのは梨杏だ。

このまま泣きついていいのかな……?



弱いままでいいのかな?


「ううん。大丈夫……」

「全然大丈夫な顔してない」



あれ…
なんで知ってるんだろう?

梨杏はあたしの心が読めるのかな…?



少し……少しだけ…
梨杏に甘えてもいいかな……?




「梨杏……あたし…わかんないよ…

もう何もわかんない…」


涙がまた一つ、また一つと流れる。



泣きながら、梨杏に全ての経緯を話した。

梨杏は頷きながら聞いてくれた。




「そっか……
梨杏は、自分が一番幸せな方を選んだ方がいいと思うよ?

一緒にいて幸せなほうが美緩にとっての幸せだと思うよ」




梨杏の言葉は真っ直ぐで、一つ一つに気持ちがこもっていた。





あたしが……
一番幸せだったのは…
拓弥の時。



でもね……?
それはもう選べないんだよ……。


さんざん傷つけて
もう一回お願いします、

なんて都合のいいことできるわけない…




「…あたし……
拓弥は好きだよ……?


でもね……

同じくらい遼も好き」




わがままだってわかってる。

でも…決められないの。

どっちも大切だから…



失いたくないんだ……




「それじゃだめだよ!!」


梨杏が強い口調で言う。

「美緩は…お人好しだから両方大切にしたいのはわかる。

でもね、決めなきゃいけない時だってあるんだよ…


どちらかを手放さなきゃいけない時だって…あるんだよ…



ずっと両方を守り抜くなんて
できないよ……??

今決めなきゃ。

自分の出した答えにもっと自信持っていいんだよ?


勇気出していいんだよ?


わがままになって決めればいいんだよ…」




梨杏の言葉が胸の奥に突き刺さる。

真っ直ぐ、あたしの一番弱いところに響いてくる。






「あたし…決めるよ」



涙を拭って、笑顔で言う。



< 101 / 129 >

この作品をシェア

pagetop