桃色畑
1 「はじまりの夕日」
「・・・・・・カチ。」

やっと動いたよ。

秒針のない時計の一分はとても長く感じた。

あともうちょっと。あと一回動いてくれれば・・・・。

「・・・・・・・・カチ。」

やった!

「キーンコーンカーンコーン」

あたしは手早くかばんに教科書やらノートやら入れる。

そしてそのまま昇降口へ直行。

掃除あるけどもちろんやらない。

反対側の廊下から男子が歩いてた。

制服が結構くずれてて、ピアスをしていた。

もちろん髪も茶色に染めていた。

髪を染めるのは校則違反ではないが、ピアスは校則違反だ。

あたしもつけてるけど・・・。

でも、髪で隠れてるから大丈夫。

ふと靴のラインの色を見ると青。

あたしと同じ学年だ。

でも知らないなあ。

あたしは外靴に履き替えて校門へむかった。

横をさっきの男子が自転車で通りすぎてった。

まぁいいか。

あたしは家に歩きで直行。

別にやりたいことがあるわけじゃない。

いじめられてて早く帰りたいわけでもない。

どちらかというと、クラスにはうまく溶け込んでるほうだ。

ただ、学校が嫌なだけ・・・。

学校なんてなくていいのに。

学校があるせいですごく苦しんでいる人はたくさんいるだろうし。

世の中にでるためには学校にいかなくちゃならないってことは分かるけど、学校では綺麗事ばっかで大切なことは教えてくれない。

「~~~~~♪」

気づくとケータイが鳴っていた。
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