ゆびわの魔法
magic1

「やえ姉ちゃん待ってよー!」

「やーだー」

私の前を走るやえ姉ちゃんを必死に追いかける私。

「………いてっ」

必死で走っていたから下を見てなくて転んでしまった。

やえ姉ちゃんはそんな私に気付かずに走っていってしまう。

「…………立てない」

足をぐねってしまったのか私は自力で立てなかった。

「やえ姉ちゃんー!」と叫んでも帰ってきてくれなかった。

寂しさのあまり、幼稚園児の頃の私は泣き出してしまい、さすがに誰かがどうしたの?と聞いてきてくれた。

「……ユウくんだぁ」

どうしたの?と聞いてくれた人は私の幼なじみのユウくん。

私の初恋の人。

「コケたの?立てる?」

「立てない…ぐねったの…」

「分かった。じゃあちょっとここで待ってて」

走ってどこかへ行ってしまうユウくん。

「どこ行くの?!」

ユウくんは振り返りもせずに走っていった。

「うわぁあぁあん…」

昔から私は泣き虫でやえ姉ちゃんの後ろをついてって走ってコケて泣いて…馬鹿みたいにその繰り返し。

「帰りたいよぉおぅ…」

「サエちゃん。泣かないで。」

下を向いて泣いている私が上を向くと、ユウくんがいた。

手に何か持ってる…?
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