♥兄恋♥



野球の腕は毎年補欠。

その上、骨折中。




「あっ、大丈夫。」


遼はボールを先輩らしき人に投げると、そのまま隣に座った。



「ここイイよね」
「うん」





「学校の前じゃなければね。」
「そうだよねぇ」

「来年・・・受験生かぁ」


「そうだね」


そう。今は高2。田舎とは言え、毎年受験戦争が起きている。


「おれさぁ頭悪いし、野球も下手糞だけど。野球への愛情は誰にも負けない。」


「あたしもそう思うよ」





「乃愛は?」



遅れたが、この物語の主人公の山城乃愛。


性格はかなりさばけていて、女友達と男友達は同じくらいいる。



元ソフトボール部(今年の春、廃部)


現帰宅部。


「うーん。野球の強いところか、ソフトボール部があるところかな?」


田舎なので、なかなかそんな大学がない。


「へぇ・・・俺も野球の強いとこかな?」

「なんで?」

「俺、高校出たら即結婚するからw」



遼はいつも人懐っこい笑い方する。


やさしい笑顔が不安になる。


無理をしているみたいで・・・


哀しそうで・・・。



「そうなんだ・・・。」

「あ!昼練おわる。」



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