♥兄恋♥

夜。



体育祭の日になった。

朝から騒がしい花火が鳴る。


一言言うと面倒・・・・。



あたしが出場するのは、全員リレーと二人三脚。


それだけだから楽。




「乃愛。小さい子が来てるぞ。」

「ん?」



「乃愛ちゃん!」


「翔樹くん?何で来たの?」

「お母さんが急に仕事で出てっちゃったから。」

「よく一人で来れたね。」

「いや・・・兄ちゃんが送ってくれた。」

「遼が・・・」

「あ、これ!」

小さな手提げからあたしのお弁当の包みを出した。

あたしは、わざと置いてきたのに。

「なんで?」

「お母さんが詰めてくれたの。」

「そうか・・・・」

「遼は?」

「はぐれちゃった。」

「んじゃ。ここにいなよ。」

「やったー。」


「乃愛・・・・この子だれ?」

「あたしのかわいい弟。」

「天野翔樹です。」

「遼の弟でもあるけど。」

「そうか・・・」
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