夜空に咲く、花。
 「三尺玉、早く見たいね~」

 どこからかそんな声がした。
 三尺玉?あっ!これは、お婆ちゃんのところの…

 「…ゆっ…こ?」
 「え?」

 背中からとても懐かしい声が聞こえた。

 「…ゆっこ、ゆっこか?!」
 「…修ちゃん!」
 
 ようやく座れるところを探し出し、花火を見ながら思い出話で盛り上がる。

 「婆ちゃんからゆっこが来んくなったって聞いて心配らったてぇ」
 「ごめんね…病気が、なかなか良くならなくて」
 「そいが~かぁ…まぁ、俺んことはいいろも、今体は大丈夫んが~か?」
 「うん。大丈夫!修ちゃんと花火見たくて…急に来てごめんね?」
 「そんげんこと気にしんでいいてぇ。ゆっこが元気らったらいいっけさ」
 「それにしても、修ちゃんよく私がわかったね?」
 「わかるいてぇ。おおきなったってもゆっこはゆっこらから」
 「よかった!忘れられちゃってるかと思ってた。修ちゃんも修ちゃんのまんまだよ」
 「そらろっか?まぁ、頭ん出来はちっともかわらんろも、身長はこって伸びたいや~」
 
 言って笑う修ちゃんの顔は確かに私の遥か上にある。
 小学生の頃はそんなに身長差なんてなかったのに、男の子って大きくなると本当にすごい。
 
 それから私たちは、たくさん話をした。


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