明日へと

「あの時は ほんと死にそうな顔してたよ」

彼女が笑いながら言った

「全てを失ったばっかりだったからね」

僕は 彼女をからかう様に答えた
実を言うと 冗談なんかじゃなく あの時は正に晴天の霹靂(へきれき)だった

「大袈裟! 全ては失ってないでしょ やっぱり働いてる方が生き生きしてる」

「バイト始めてしばらくは 失業保険の兼ね合いで あまり入ってなかったんだけど なんか それもどうでも良くなっちゃってさ お店も忙しいみたいだし」

「ダメよ そんなもんに頼ってちゃ 働ける体のあるうちは働かなきゃ」

「まあね でも今 職探しも厳しいよ 1人の求人に対して30人応募するらしいぜ おれも既に2社ダメだったし」

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