梟~幼少編~

龍峰が生きていた頃

朝。
武族の村には霧が張り廻っていた。
そこに二人の男の歩く姿が。そう。威白とその連れの万斗の姿。
二人は仕事から帰ってきたのだ。
本当は昨日のうちに帰ってこれたが、あえて朝帰ることにしていた。
なぜかと言うと、威白をみて女性たちが騒ぐからである。
その事が威白にとって毎回苦痛であった。

二人は武族の村の門に人がいることに気がついた。

「よ、おかえり~」

男は手をヒラヒラさせて二人を迎えた。

「龍峰…」

そう迎えたのは張龍峰。威白と同等の強さを誇る良きライバルである。

「龍峰さん。こんな朝早くにどうしたんですか?」

万斗が問う。

「お前らを待っていた。特に威白を」

龍峰は不気味な笑いを浮かべて威白を見た。

「万斗。先に帰っとけ。族長には威白は龍峰と茶を飲んでいると」
「しかし、威白さん…」
「いいから!先行ってろ」

威白の気迫に万斗は押されもう何も言えなかった。万斗は小走りでその場を後にした。

「部下は巻き込まない主義か。威白」
「当たり前だ。あいつは関係ない」
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