Cry!Cry!Cry!



「泣きやんだ?」


中庭のベンチに座り、

あたしは彼女の顔を覗いた。


赤い目をタオルで隠し、

彼女はうなずく。




「っで、なんでフラレたの?」


「分かんないです…。」



分かんないって…



「中途半端な男だな。フラレて正解じゃん。」


「悠ちゃんはそんな人じゃないです!」



へぇ…悠ちゃんって言うんだ。




だけど、そんな事言われたって、

あたしは悠ちゃんに会った事ないしなぁ…。



「付き合って何年経つの?」


「1年2ヶ月…。」


彼女は即答だった。


「あー、1年越してるなら十分でしょ。

きっと飽きたんだよ。」




“飽きた”と言い方はまずかったと思ったら、

彼女は違う事に首を振った。




「悠ちゃんはそんな人じゃないです!」



・・・・・。



「それ…なんか買い被りすぎじゃない?逆に重いよ?」



彼女は息を止めるようにタオルで口をつぐむ。



そして、大きく息を吐いた。



「でも…好きなんです…


悠ちゃんが私の事をどんなに重く感じても…。」



そこまで…言うんだ。

そこまで…思うんだ。


あたしには到底無理だよ。



今まで人に嫌われ続けて来たから好きな人には嫌われたくない。


だけど、目の前に居る彼女はそれでもいいなら…。





< 162 / 267 >

この作品をシェア

pagetop