【短集】虹
【RAINBOWS】


暗い闇に
無数の光が射す


その光は
一色では無く

眩しかったり
暗かったり


様々な色が
暗闇を走っていく









「あ、雨上がった」



彼女はそう言って
庭に出て笑う。





そんなに雨が嫌いなのだろうか、彼女は嬉しそうだ。




庭に広がる植物の葉に
雫がついて光っている





こんなに晴れ渡る空
見たことが無い




ずっと暗闇に居た私には
彼女のように明るい人は
初めてだった



そして彼女のように
明るい空を見るのも
初めてだった。





「綺麗でしょ」


彼女が足元の私を見て
満面の笑みを見せる






私は少し鳴いて
彼女の足に頬ずりをした




「くすぐったいよ」



感謝の気持ちだ。


こんな汚い私を
拾ってくれた。

優しくしてくれた。




こんなに明るい空を
見せてくれた。


私に笑顔を
向けてくれた。




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