妹の恋人は姉の彼氏の従弟
私らしい未来へ

「別れ」も一つの愛情表現

「行ってきます」

朝、学校にむけて
家を出発した

団地内を歩く

廉人さんのマンションには
戻らないと
お姉ちゃんに伝えた

お姉ちゃんに
海堂とは付き合わないと
はっきり言えた

これも先生のおかげだ

団地を出て
駅に向かう途中

海堂と会った


わざわざ
来てくれたのだろうか

海堂のマンションからのほうが
学校に近いというのに

制服を着ている海堂が
真っ直ぐに私の顔を見てた

昨日、私に殴られた頬は
赤く腫れていた

「俺は諦めない」

「うん
それでも私は付き合わない」

「広子とのことが
解決すれば…いいのか?」

「違う
海堂は他の女と結婚する可能性があるんだろ?
それも父親に勝手に決められる
それなりに地位のある家の娘と…
将来の決まっている男に
私は心を預けたいとは思わない
海堂が一人前になって
好きな女と自由に恋愛できて
好きな女と結婚ができるようになったら
海堂との恋愛を考えてもいいよ
…ただ、その頃まで私が独身だったら…の
話だけど」

私は笑顔で
海堂の顔をまっすぐに見れた

海堂はつらそうに
下唇を噛んだ

そして
「わかった」
と小さな声で呟いた
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