妹の恋人は姉の彼氏の従弟

同棲?

「よっ!」

入学式と始業式を終えた私は
正門に向かって歩いていた

正門に立っていた廉人さんは
笑顔で私に手をあげた

隣にはお姉ちゃんはいない

「海堂彰吾なら…もう帰ったと思いますよ」

「彰吾に用はないよ
紫音ちゃんに話があるんだ」

廉人さんは
私の手首を掴むと
近くに止まっている黒塗りの車に乗り込んだ

「車を走らせながらでいい?」

「それは構いません」

…ていうか
廉人さん、仕事は?

「頼みがあるんだ
俺と一緒に暮らしてくれない?」

「はあ?」

私は車の中で大声をあげた

「誤解しないでね
えっと
彰吾を預かっただろ?

それで花音がマンションには来ないって
言うんだ

だから
紫音ちゃんが一緒に生活してくれるなら
家に行っていいって言うから」

「はあ…」

私は飛び跳ねた心臓を
必死に抑え込んだ

お姉ちゃんと一緒に過ごしたいから
私を利用したいわけね

廉人さんらしいや

「ご両親の心配はないよ
俺からもう了解は得ているんだ」

「うちの両親なら
反対はしませんよ」

「うん、反対しなかったよ」

「ぜひ彰吾と…なんて言ってた」

廉人さんはけらけら笑いながら話す

「そうだろうね
きっと海堂彰吾だってお坊ちゃまなんでしょ?」

「まあね」

金持ちと結婚できるかもしれないチャンスを
親が手放すわけがない

「…ということで
いいかな?」

「嫌だって言っても
まわりが賛成しているのに
私が嫌がれます?」
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