妹の恋人は姉の彼氏の従弟
「ぬわんじゃ、こりゃあぁ」

私は寝返りを打とうとして
障害物にあたった
温かくて、私の行く手を阻む

目を開けると
そこには海堂彰吾が濡れた髪のまま
眠っていた

シングルの狭いベッドに
海堂彰吾に一緒に寝ていたのだ

「また濡れたまま寝てるし」

そんなにベッドで寝たいのか?
私は大男を乗り越えて床に足をつけた

部屋のすみにある
敷き布団を広げると
干した太陽の匂いがする布団の中に
もぐった

朝四時
激しい目ざましの音で
私の目がぱっちりと覚めた

「何で?」

敷き布団の中には
あの大男もいる

ベッドでは誰も寝ていない

綺麗に整えられているベッドと
寝息を立てている海堂彰吾を眺めた

一つ目の目ざましが止める前に
二つ目の目ざましが鳴りだした

私はあわてて時計を止めた

まだ鳴りだしていない時計を見つけると
鳴りだす前に、目ざまし機能を無効にした

あと一つはもしかして
廊下?

私はそろそろと部屋のドアを開けた

玄関では不機嫌な顔の廉人さんが
目ざまし時計を止めていた

今日はガウンを着ている

「毎朝、こう鳴ってたら
俺はノイローゼになりそうだ」

私は苦笑いをした
意外と神経質なんだね

廉人さんはよろよろと
部屋に入って行った

私も布団に戻る

「目ざまし鳴った?」

すでに起き上がり、着替え始めている海堂彰吾が
質問してきた

え?
目ざまし時計で起きたんじゃないの?

「鳴ってたけど」

「そっか
今日も聞こえなかったな~」

寝ぐせが激しい頭を海堂彰吾が
ぼりぼりとかいていた
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