妹の恋人は姉の彼氏の従弟

彰吾の弁当

「ぬわんじゃこりゃ!」

弁当の蓋をあけた私は
腹から声を出した

そしてすぐに弁当の蓋を閉めた

「どうしたの?」

蓉子が前髪を鏡で整えながら
質問してきた

二時間目の休み

早弁用の弁当箱を開けて驚いた

ご飯の上にハートマークがあった
鳥そぼろで作ってあるハートがっ

「とうとう紫音が禁断の道に
進んだ?」

蓉子が弁当箱の中を確認した

蓉子はたぶん
私を好いている女子からもらった弁当だと

勘違いしているのだろう

今朝はお姉ちゃんではなく
海堂がキッチンに立っていた

帰りが遅かったお姉ちゃんの代わりに
あいつが弁当を作っていた

こんな弁当を作っているなんて
聞いてない!

「これを私に食えと…」

独り言のようにつぶやくが
蓉子が頷いた

「作ってもらった人に
失礼でしょ
早く食べなくちゃ」

「食えん」

「誰と付き合うことにしたの?」

「誰とも付き合ってないし
これは……
同居人が作った弁当だ」

「同居人?
誰、だれ?」

蓉子は目を大きく開けて
身を乗り出してきた
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