妹の恋人は姉の彼氏の従弟
『木下! 
来週の練習試合のメンバー
決めたからちょっと見てくれ』

と、加藤先生に呼び出された

誰もいない体育準備室に
私と加藤先生が
向かい合わせて座って
レポート用紙を眺めていた

「今回の練習試合は
2年でレギュラーを固めてください」

「え? 木下たち3年はどうする?」

「見てます
2年の実力がどれくらいか知りたい
私たち3年は夏の大会で引退だから
彼女らに自信をつけてもらいたい」

「3年の女子に比べて
2年はおっとりしてるからな~」

「実力があるのに
自信を持ってないから
今回の試合は良いチャンスになると
思う」

加藤先生が赤ボールペンで
3年のメンバーに線を引く

そして2年メンバーで
5人レギュラーを選んだ

「なあ、木下
この前の返事なんだけど」

「は?」

私は顔を上げた
加藤先生は真剣な目をして
私を見ている

「あっ…ああ、あれ
う~ん、あれはぁ」

私は頬をぼりぼりと掻きながら
天井を見上げた

熱が出て倒れる前に
先生に告白されていたのを
思い出した

告白されたのを
すっかり忘れている
私も私だ

「木下って恋愛は苦手だろ」

「苦手って言うか…
未知の世界だから」

「ま、もうちょっと
答えを待つよ」

加藤先生は
私の頭をポンポンと叩いた

大人の手だ
優しいけれど

ちょっと物足りないかも?

いや…
別に海堂がどうとかって
意味じゃないし


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