青春ing
「……この学校の女子、大半はズレてるんじゃないの?あれだけ不機嫌オーラ出してる谷口を見て“かっこいい”って……『触らぬ神に祟りなし』って言葉、知らないんだろうね。
うわ、咲也子ってば話しかけてるし!『恋は盲目』ってやつか?」

「ですよね!佐桜花さんっていうスーパースターの存在の大きさに気付かないなんてズレすぎですよねー!!」

「……は?」



 いやいや、あたしが言いたいのはそういうことじゃないよ。君も十分ズレてるよね、うん。モデル根性なのか、瞬時に表情を変えて咲也子に取り合う谷口を横目に、あたしはのんちゃんに内心ツッコミを入れていた。

 ――のんちゃん。君はもっと男子に目を向けなさい。



「信者恐るべし……冷静な状況判断ができなくなってるよ。」

「香子、その言い方やめなって。しかもあたし、宗教なんか作った覚えないんだけど。」

「甘いよ佐桜花。最近の宗教は教祖の知らない所で生まれるもんなんだから。
……ほーら、早速可愛い信者達が挨拶に来たよ。」



 その台詞で、香子の視線が向かった先を見る。そこには、よく挨拶してくれる礼儀正しい下級生達が五人、出入口付近に立っていた。
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