【実話】ありがとう…。
「望さん、落ち着いて!」


分かってた。

ここは病棟で、患者も居るって。

落ち着かなきゃいけない事も―‐。

でも…止められなかった!

「アンタに何が分かるんだよ!!人の心の中に土足でズカズカ入って来んな!」

廊下で大声を出して居たら、嫌でも皆集まって来る。


伊藤はムッとし、その場から立ち去る。


美子が私に話掛ける。


「望さん、休憩時間だから、休憩室に行こう?」

と手を引いて、休憩室に入る。


「ごめん…。落ち着かなきゃって、分かってたんだけど、伊藤の言葉に冷静で居られなくて…」


美子はただ黙って話を聞いていた。


休憩時間も終わり、仕事に戻り、さっきの騒ぎを見ていた患者に謝って歩いた。


仕事も終わり、病院を後にする。







その後、暫く部長に呼び出されるも、報告書を提出する事は、無かった―‐。



私の心の中には、大きな穴が開いてしまい、仕事に出ていても、常に頭の中は、たかさんでいっぱいだった。


食事も喉を通らない…。

無理に食べると吐いてしまう。

食事と言えば、辛うじて喉を通る水分のみ。


そんな生活が続き、10日で15㎏も痩せてしまった…。


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