落日
「いや、ね……。誠司くんとのこともあったし、少し心配だったんだよ」
「大丈夫ですって。仕事は仕事だと、割り切っていますから」
「それなら良かった」
副社長が気にかけてくれていたことが、正直嬉しかった。
月島の家では、誠司と、誠司のお父さん以外は、全てが社長寄りの人だと思っていたから。
「依子ちゃんにこんなこと言うのもあれだけど……」
穏やかな空気のなか、副社長は僅かに顔をしかめ、私に言った。
「社長さ、最近どうも疲れが溜まっているみたいなんだよね。もしよければ、ほんの少しでもいいから気にかけておいてもらえるかな」