FIVE STAR

「何。泣いてんの」



「な、泣いてないっ…」



もちろんその言葉は強がり。なぜかポロポロと涙が溢れるばかり。



「…」



「…!」



潤也は静かに私の頭をなでてくれた。



「泣けば…って泣いてるか」



「まだ好きか?」



静かにうなずく。



「そうか。そりゃそうだな」



潤也ってこんなに優しい人だったっけ。



止まれと言っても止まらない涙。



昨日泣かなかった分、余計に流れ出す。



こんなに悔しかった?



こんなにかなしかった?



“彼女がいる”



春樹は私とは違う誰かを好きでいる。



大好きなのになぁ…



春樹の大切な人として一緒にいたかったなぁ…



「はるきぃ…」



「…」



潤也はふぅと息を吐き出して、私の体を起こした。



「?」



涙で潤也の顔がぼやける。



「…いっぱい泣け。泣いて忘れろ」



と言ったあと、私は潤也の胸の中にいた。



“泣いて忘れろ”



忘れた方がいいの?



それともまだ想い続けるの?



春樹の笑顔がすっと浮かんだ。



春樹はきっと、今の人を選ぶ。



なら、今忘れてしまえた方がいい。



…どうしたらいいんだろう?




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