おかんの手料理 ~7人のハチャメチャ物語~
 僕の涙は、頬を伝って、オムライスの上にポタポタ落ちた。

「うっ……うっ、まい……よ。母さん」


 どんどん涙が溢れる。こぼれる。
 僕の涙をせき止めていたダムは、完全破壊し、修復不可能だった。

「あんた、何泣いてんの?」

「うっっ…うっ…」

「そんな感動するほど美味しいの?いつもと変わりないけど」

 
 感動するほど美味いよ。いつもと変わりないから、泣けるんだよ。


 くそっ。何泣いてんだよ、僕。
 

 止まれよ。止まれよぉ。頼むから、止まってくれよ。
 



 
 僕は、紛らわすように次々にオムライスを口に運んだ。



 でもその度に、僕の涙はどんどん増していった。
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