恋舞曲~雪の真昼に見る夢は…~
救急病院に担ぎ込まれた剛と誠志郎さん。

だけど、病院から帰ってきたのは誠志郎さんひとりだけだった―――


剛は全身打撲のうえ内臓破裂で死亡。

誠志郎さんも同じく全身打撲だったけど、不幸中の幸いといっていいのか、右足の靭帯断裂に複雑骨折だけで済んだ。…とはいえ彼の選手生命はこれで断たれた。

あたしはといえば、少し右膝を擦りむいた以外は、ほとんど無傷といってよかった。いうまでもなくソレは2人が命懸けで守ってくれたおかげだ。


「オレにはお前が必要だっ! 他のヤツなんて考えられねぇ! お前じゃなくちゃダメなんだっ!」

そんな捨てゼリフを残してこの世から去っていった剛。

そんなアイツの存在が、あたしの中でただのケンカ友達以上の存在に昇格したのは、彼のお葬式に出ているときだった……。


死ぬほど、あたしが好きだったなんて。

気づかなかったよ、全然…。

冗談だって思ってた。

だって、あたしと剛は顔を合わせると、いつもケンカばっかりしてたし……。


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