恋舞曲~雪の真昼に見る夢は…~

“ハァ…、ハァ…、ハァ…”

“ドクン…、ドクン…、ドクン…”

いよいよ擦りむいた傷口から小石を取り出すためのミニ手術(オペ)の開始だ。

待ち針が小石のあるところを目指してゆっくりと進んでいき、そして到着。

「イタッ」

「まだ何もしてない、って…」

「そぉ…?」

「傷口にちょっと触っただけ…」

「そーかなぁ……」

「毬ちゃんは見ないほうがいい。キミがそっぽ向いてる間に俺が取ってやるよ」

「うん……」と、そっぽを向いて、窓のほうを見るあたし。窓の外ではいつのまにか小雪が舞っていた。どうりで今夜は冷え込むと思った。

「じゃあ、いくよ…」

「うん……」

誠志郎さんのことは信じてるけど……だけど、あたしの見えないところでコトが進んでるっていうのはどぅも……かえってよっぽどドキドキしてしまう……。

「イタッ」


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