sky

自由

* * * * *


優しく生温い風が、私の髪を撫でる。



この空の下のどの場所に、お父さんは居るのだろうか…?





…そう、お父さんは、帰って来なかった。


あの日お父さんは、私達を捨てて自由になったんだ。



あの時は思わなかったけれど、今の私は強く思う。



―…自由に、なりたい。



裏切り者のお父さんが、憎い反面、羨ましい。


私が大人だったら、生活力があったら、家なんてすぐに、出ていってやるのに。




あの家は、戦場と言ったら大げさすぎるけれど、私にとってはそのようなもの。


先に家を出た人が勝ち。


最後に残った人の末路は、どうしようもないものだろう。
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