幻妖奇譚
 さて、先輩から話を聞く前にしっかり注意を受けたにも関わらず、違ったラストを作り上げてしまったたヨシエ。

 ただの怪談話ならば『ひと時の涼』を求めるという、夏にはありふれた光景になる筈でございますね。

 もしかすると……貴方様にも似た体験をなさった事がおありではないでしょうか?


 今回、3人の娘にとって『ひと時の涼』に止どまらなかったのは、なによりも相手が悪うございました。

 なにせ黒を黒と認めない、思い込みの激しい青年なのでございますから……。

 しかしながら、かろうじて命を繋いでいる状態のリョウは未だ病院のベッドの上。

 では何故、リョウは踏切で目撃されるのでございましょう?

 時として人は、何かに対し強い思いを抱えていたりすると、例え生きた状態でもその強い“思い”のみがその場に残る事がある様でございます。

 そう……自由にあちらこちらへ移動する事が可能な、言わば“霊魂”と同じ状態になったリョウの場合、やはり心残りは薔薇と彼女への一方的な愛情でございましょう……。


 は?3人の娘に何が起こるのか早く知りたい、でございますか?

 かしこまりました。それでは、ヨシエがアケミとチエに話を終えた所から、お話致しましょう。



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