幻妖奇譚

∽復讐∽

「…………」


 胸に燻っていた黒いものをすべて吐き出すように、話した。サキは黙ったままだった。

「……サキ?」

「沙希。写真ある? その3人の」

「あ、うん。クラス写真だけど」

 見せて、と言うサキにあたしは部屋に行き、アルバムから写真を剥がし持って行く。


「この髪が長いのが光江、肩越しの天パで澄ました顔してるのが由美子、座っている眼鏡を掛けた短い髪がみちる」

 サキに分かるように鏡に写真を向け、説明をする。

「……辛かったね、沙希」

 サキの言葉に我慢していた涙がボロボロと零れ出す。

「あ、れ? やだな……」

 零れ落ちる涙を両手で拭おうとした。

「あっ! 沙希、目が腫れるからこすっちゃ駄目よ!」

 後で冷たいタオルで目を冷やした方が赤くならないんだって。サキってなんでも知ってるんだなぁ。

「明日……学校行きたくないなぁ」

 こんな言葉、絶対パパの前で言えないや。でも、明日笑って『行って来ます』って言えるかな……。

「いなくなっちゃえばいいのに……」


 口をついて出た言葉に驚いた。

 ――何言ってるの?あたし。

 考えちゃいけない。だけど――もし、もしも。






   ホントウニ








 イナクナッチャエバ――!!




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