クリスマス恨み節


「あれ、予約入ってただろ!!」
「大丈夫です。俺が買うつもりだったんで」
「……そうなのか?」
予約伝票までは見てなかったのかな。
「いいのか?」
「いいんです。お客様の笑顔が見たいって、言ってたじゃないですか」
「……」


アヤノさんとリリーちゃんが、レジの売上を回収し、撤収の準備を始めた。
気を使ってくれたのかな。


……言おう。
……今、本気出さなきゃ、いつ出すんだ。


「長谷川さんの笑顔が見たかったんです」



……言えなかった。
うわあ。
俺らしくない。


サンタの帽子をすっぽり被りたい気分。


「……」
「無言ですか!?」


ベアトップのサンタは、俺を見つめて固まっている。
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