恋人は隠れ既婚者【前編】



まだ肌寒い三月初旬。


離婚してから半年が過ぎていた。


慣れないヒールを履き、黒いコートを羽織って家を出た。


とあるお店の前に私は立っている。


『開店祝』や『オープン祝』のお花が飾られていて、とっても華やかな繁華街の中でも一際目立つ。


そもそも、ここに来ることになったきっかけは、養育費を貰えなくなったのが理由なわけで、


それを当てにしてきた自分が、いけなかったのだろうか。


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