蜜花 -First.ver1-

試合


わあーっという歓声と共に高く舞うボール

「いっけえ透ーっ!!!」

「んー…病人出るかなあ?」

応援に力が入ってる詩織の甲高い声と、応援など全くしてないだろう壱夜くんの声が混ざる。

あたしは声はあげず、ただただ見つめていた。

「きゃーっ!!透先輩かっこいい!!」

透は…かっこいい…

「透ほど上手けりゃ、俺だって頑張るのによお~。」

「馬鹿!透は努力家なんだよ!」

透は…上手い…

透は…努力家…

「透くーん!彼氏になってぇ♪」

透は…彼氏…?

とたんに透は、ゴールをきめた。

「きゃーっ!!!!!」

透ファンの先輩後輩の黄色い声があがる。

透は観客席をキョロキョロし、あたしを見つけて手を振った。

お前のためのゴールだ!

なんて…伝わってきた気がした。
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