うさぴょん号発進せよ

第2節 後悔

太陽、季節、気象は人工的に造りだしていたが、ドームの向こう側に見える満天の星空だけは、本物である。

夜の間だけ、透明なドームがその星を映し出していた。

その星空の下、コウヅキは一人夜道を歩いていた。

今は、初夏に差し掛かるくらいの時期である。

少し汗ばむほどの陽気で、決して寒くはなかったのだが、コウヅキは両手をジーンズのポケットに突っ込み、背中を丸めて歩いていた。

船の置いてある建物から数十メートル手前のビル街で、昼間は労働者達が忙しなく行き交っている場所である。

だが夜には街灯だけが立ち並び、人気もなく、閑散とした雰囲気だった。
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