うさぴょん号発進せよ

第3節 家族の想い

「…眠れない」

トヲルは、自室のベッドの中で呟いた。

部屋の中はクローゼットと小さなテーブル、洗面台、ベッドが置かれているだけのシンプルな造りだった。

整理整頓がきちんとされている綺麗な部屋だが、モノが殆ど置かれていないので、片付けもあまり必要がなさそうである。

自室…とはいっても、ここは元々タスクの部屋だった。タスクが戻ってくるまでの間だけ、トヲルが一時的に使わせてもらっているのである。

トヲルの荷物は1ヶ月以上が経った今でも、家から持ってきた大きめなバッグの中に、入れたままになっていた。それは今、部屋の片隅に申し訳なさそうに、置かれている。

一応ここは他人の部屋なので、何となく自分の荷物を部屋のあちこちに置くのは、気が引けたのだ。
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